余力管理(工数管理)
「余力管理」について説明します。
「工数管理」とも呼んでいます。
「余力管理」は、「JISZ8141-4103」に、次のように定義されています。
「余力管理」とは、
「各工程又は個々の作業者について現在の負荷状態と現有能力とを把握し、現在どれだけの余力又は不足があるかを検討し、作業者の再配分をおこなって能力と負荷を均衡させる活動。
備考:余力とは能力と負荷の差である。工数管理ともいう。」
です。
「工数計画」は、「日程計画(生産計画)」を作るときに「工数」などの「負荷」(仕事量/生産量)を考えた計画を立てます。
でも、実際に生産をおこなうと、「負荷状態」が変わってきます。
「余力管理」は、生産を始めて、進捗管理を行うときに「生産能力」と「負荷」を調整します。
「余力」とは、工程の「生産能力」と「負荷」との差です。
余力 = 生産能力 ― 負荷
余った「生産能力」ですね。
「余力管理」は、人員や機械設備の「生産能力」と「負荷」を調整して「手待ち時間」をなくすことです。
「進捗管理」の適正化を図る業務です。
「日程計画(生産計画)」の段階では「生産能力」と「負荷」(仕事量/生産量)とのバランスがとれていても生産を実施する段階では、いろいろな問題が発生します。
次のような問題です。
- 機械の故障
- 作業者の欠勤
- 前工程からの材料遅れ、
- 追加注文や飛び込み
などです。
これらの問題によって、相対的に「生産能力」が不足すると「日程計画(生産計画)」で決めた「負荷」(仕事量/生産量)を処理できなくなります。
反対に計画変更によって「生産予定量」が少なくなったり、注文取消しがあると作業者や機械の「遊び」が生じることになります。
コストが増大します。
原価が上がります。
「進捗管理」(進度管理)は、作業を予定に対する進み遅れの調整をおこないます。
「余力管理」は、作業を「負荷」(仕事量/生産量)と「生産能力」のバランスという面からみていきます。
この「余力」をゼロにするか、できるだけ少なく保てるように調整することが重要です。
■1.余力管理の手順
「余力管理」は次のステップで行われます。
- 手持ち「負荷」(仕事量/生産量)を調査します。
製品の「生産量」から「工数」などを計算します。
- 人、機械、設備、原材料などの「現有能力」(生産能力)を調査します。
現在の「生産能力」を計算します。
- 「余力」を算出し、その値が大きいときは「余力調整」します。
「生産能力」と「負荷」との差を計算し作業の配分をおこなって「負荷」と「生産能力」を均衡させます。
難しい場合は「日程計画(生産計画)」を変更します。
■2.余力管理での対策例
「余力管理」では、次のような対策をおこないます。
- 「余力調整」で「生産能力」が不足するときは、
- 「作業手配」をやり直します。
- 残業をおこなう
- 他職場からの応援をもらう
- 外注を活用する
などを、おこないます。
- 「作業手配」をやり直します。
- 「生産能力」が余る場合は、
- 仕事量を増やす
- 新規の注文を取る
- 他職場へ応援にいく
などを、おこないます。
- 仕事量を増やす
対策が、難しい場合は最終的には、「日程計画(生産計画)」を変更します。
でも、お客様の納期を、満足できないような「日程計画(生産計画)」の変更は、おこなってはいけません。
●「工程統制」の関連ページです。
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11:002004