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工程管理システム(MES:製造実行システム)


「工程管理システム」(MES:製造実行システム)について説明します。


工程管理システムとは(MES:製造実行システム)


工程管理システムとは、製造工程の指示やスケジューリング、工程の進捗管理、作業実績、設備保全、品質管理などを行い工程管理業務を効率化するシステムのことです。

工程管理のシステムは、「MES」(Manufacturing Execution System:製造実行システム)とも呼んでいます。
英語で「エムイーエス」や略して「メス」などとも言います。


工程管理システムの位置づけ


企業の全体を管理するシステムとして、多くの企業で、「ERP」(Enterprize Resource Plannning:通称イーアールピー)というシステムが、導入されています。

ERPとは、日本語では「業務統合パッケージ」と呼ばれ、企業に必要ないろいろな機能、会計、販売、出荷、資材購買、生産管理などが統合されたシステムです。

ERPには「生産管理システム」も含まれています。

その「生産管理システム」には「工程管理」というサブ機能があります。
「生産計画」に対して、工程の進捗管理を行うことにより、お客様の納期を守ることが出来ます。

しかし、「多品種少量生産が」多くなり、管理する製品が増えていくことにより、ERPだけの管理では限界となりました。
また、リードタイムの短縮の要求もあります。
その為、「MES」(製造実行システム)という工程管理をおこなうシステムができ、重要な役割を担うようになりました。


まず、企業の全体のシステムと工程管理システムの関係・位置づけについて説明します。

次の図は、一般的な「製造業」でのシステムの全体像です。
「製造業」では、企業の中で、いろいろなシステムが動いています。




製造業では、製造している業種によっても、機能やサブシステムが異なっています。
一般的な機能について説明します。

大きく、「販売管理システム」、「生産管理システム」、「工程管理システム」、「購買管理システム」に分けられます。

それぞれのサブシステムについて説明します。


  1. 販売管理システム

    • 受注管理システム
      注文を受けます。
    • 在庫管理システム
      商品を保管及び管理します。
    • 出荷管理システム
      出荷作業をおこないます。
    • 売上管理システム
      売上や請求をおこないます。

  2. 生産管理システム

    • 納期回答システム
      受注したときに、納期を解答します。
    • 需要予測システム
      今後の需要を予測します。
    • 生産計画システム
      受注情報や需要予測からこれから生産する為の計画を立てます。
    • 調達計画システム
      生産計画から、部品や原材料の調達を計画します。

  3. 工程管理システム

    • 工程管理システム
      実際に製造条件や工程の在庫や進捗管理などをおこないます。
      詳細の機能は、後述しています。
    • 品質管理システム
      品質を管理します。

  4. 購買管理システム

    • 購買管理システム
      部品や原材料を購買を管理します。
    • 仕入管理システム
      部品や原材料の入庫や出庫をおこないます。
    • 支払管理システム
      支払いを管理します。
    • 在庫管理システム
      部品や原材料を保管及び管理します。

などです。


工程管理システム(MES)の機能


上のシステムの中で、製品の製造に関わっているのが「工程管理システム」(MES:製造実行システム)です。

工程管理システムは、「MES」(製造実行システム)とも呼ばれています。

アメリカのMES推進団体であるMESA International(Manufacturing Enterprise Solutions Association)は、1997に発表した「MESA-11 model」の中で、以下の11項目をMESの機能として定義しています。

工程管理システム(MES:製造実行システム)の機能としては良く出来ていますので、説明します。

「11の機能」がありますが、大きく、3つに分けて考えるとわかりやすくなります。

  1. モノの管理

    • 生産資源の配分と監視
      生産に必要な、生産設備・治具を効率よく準備して工程に配分し監視します。

    • 仕様・文書管理
      製造仕様を管理するとともに、製造に必要な)文書(指示書。手順書、仕様書、BOM(部品表)および、製造記録を管理します。

    • 設備の保守・保全管理
      設備の、保守・保全のスケジュールをたて、スケジュールに基づいて現場に実施時期を知らせ、その実施記録を保管することです。

    • 製品品質管理
      データ収集機能で得られた加工・測定データをもとに、品質分析、品質レポート作成、品質解析用データを提供して、品質管理や品質保証をおこないます。

  2. ヒトの管理

    • 作業のスケジューリング
      小日程計画に相当する詳細な作業のスケジューリングをおこないます。
      作業順序も決定します。

    • 差立て・製造指示
      各工程において、差立て(作業手配)、製造指示、ロットの管理をおこないます。

    • 作業者管理
      セキュリティ管理や作業時間や作業場所の報告など、作業者に関するいろいろな管理をおこないます。


  3. 全体の管理

    • データ収集
      各工程において、リアルタイムで実績情報、進捗情報、品質情報を収集します。

    • プロセス管理(工程品質管理)
      データ収集機能で得られた加工・測定データをもとに、品質分析、品質レポート作成、品質解析などをおこない、プロセス品質(工程品質)の管理やプロセス制御をおこないます。

    • 製品の追跡と製品体系の管理
      データ収集機能で得られた生産実績情報をもとに、個別の製品に対する製造プロセスの追跡や製品体系の管理をおこないます。

    • 実績分析
      データ収集機能で得られた生産実績情報をもとに、各種実績レポートを作成し進捗管理や出荷予測をおこないます。


などです。


工程管理システム(MES)のメリット


「工程管理システム」(MES:製造実行システム)のメリットについて説明します。

  1. 工場内の流れを改善します。
    製造工程の作業状況やや在庫の状況をリアルタイムで把握する事が出来ます。
    進捗管理も出来るようになりますので納期管理も効率的に出来るようになります。
    仕掛品を減らし納期を守ることができます。

  2. 品質を向上します。
    作業指示書などの変更管理が迅速に出来るので、作業ミスを防止できます。
    品質情報がリアルタイムで把握できるので、不良情報などが関連工程にフィードバックされるようになります。
    設備や工程を管理できるようになります。

  3. 作業効率を高めます。
    作業に必要な情報がリアルタイムで表示されるようになりますので、作業効率が上がります。
    工程の変更に迅速に対応できるようになります。

  4. 管理の精度を高めます。
    仕様の変更の管理が出来るようになります。
    作業者の管理も出来るようになります。
    いろいろな管理指標を作成することが出来ます。
    工程や作業の改善に生かすことが出来ます。

  5. 工場の改善に活用すことができます。
    生産現場のQCDの情報を統合することにより、改善活動に生かすことができます。


などです。


工程管理システム(MES)のデメリット


「工程管理システム」(MES:製造実行システム)のデメリットについて説明します。

導入するデメリットも書いています。

  1. コストがかかります。
    工程管理システムとして、市販の「MES」を導入する場合、MESのソフトウェアの購入費用や導入費用がかかります。
    システムのハードやソフトウェアなど維持費用もかかります。
    システムを管理する人材も必要になります。
    高価になる場合もあります。

  2. 製造工程のノウハウが流出するリスクがあります。
    市販の工程管理システム(MES:製造実行システム)に、いろいろな機能やノウハウを追加する場合、そのノウハウは、ソフトウェア会社に流出するリスクがあります。
    ソフトウェア会社が他の競合企業に外販すれば、競合企業との差別化は難しくなります。

  3. 他のシステムとの連携が難しい場合がある。
    すでに、ERPシステムなどシステムを使用している場合、工程管理システム(MES:製造実行システム)を導入して連携する場合、データベースやシステムが異なるために連携できないケースが発生する可能性があります。
    連携に余分なコストが発生する可能性もあります。


などです。

市販の「工程管理システム」(MES:製造実行システム)を導入する場合は、よく検討されると良いと思います。


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